かべ装材が現在のように、装飾的に使われ始めたのは比較的近年で、
その歴史は西洋文化圏、中国文化圏の2つのルーツがあります。
中国で発明された製紙法が各文化圏へ伝えられ、それぞれの文化圏で
独自の発展をしていきました。日本では、主に奈良時代からの本格的な
仏教文化の中で発展し、障かべ画の装飾性と結合して、襖、屏風などの
室内装飾画という形をとり、襖紙としての日本独自のかべ装材を生みました。
一方西洋では水力による紙の製造技術が開発されると、生産量、スピード
ともアップし、そして17世紀には色づけのできるステンシル印刷が使用される
ようになりました。その後産業革命によって大量印刷が可能になるとともに、
かべ紙は大幅な発展がみられました。
そしてこの西洋の大量供給技術が、明治時代日本に流入し、金唐革かべ紙
を作りだし、日本のかべ装材産業の母体となりました。
そして明治以降、紙かべ紙、麻布かべ紙を経て、画期的な素材として
エンビ樹脂を素材とするビニルかべ紙がでて、乾式工法の普及と共にクロスの
普及が一層進みました。
かべ紙は上から貼るだけで下地を隠し、表面を化粧することができるという
装飾性と、安価でス安ピーディーに工事ができるという経済性を兼ね備え
た商材です。乾式工法の普及とともに下地の調整から仕上げまでが比較的
短期間ですむことから、経済性も高く新築からリフォーム、住宅からホテルまで
様々なシチュエーションにかべ紙が使用されています。
吸湿性がないため、シミやホコリには強く、手あかや油汚れには比較的弱いのが 特徴です。それぞれ汚れに対する日頃のお手入れとしては、手あかには中性洗剤 で水拭きし、汚れが取れたら、水で固く絞ったぞうきんで仕上げ拭きをしてください。 油のシミはベンジンで押さえるようにして拭き取ります。表面に凹凸がついたクロス は、ぞうきんよりも古いブラシが威力を発揮します。 |
タバコのヤニには・・・
子供の落書きには・・・
部分的なハガレには・・・
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織物クロス
ビニルクロスのように水拭きはできません。全体のホコリは丸ブラシをつけた電気掃除機をかべにあてて取り除きます。手足が触れる汚れやすい部分は洋服ブラシを使ってタテ・ヨコにブラッシングし、仕上げは掃除機で。目につく汚れには、アイロンをかけて汚れをほぐした後、湯でかたく絞った布に中性洗剤をつけて、ポンポンと叩き整えます。
紙クロス
撥水加工が施してあるものもありますが、基本的に、シミのもとになるので水拭きは厳禁です。手あかなどの汚れは消しゴムを使ってこすり取るように落としましょう。